
文化財解説文 | 鼓山古墳群は、福井市真木町に所在し、2基からなる古墳群である。昭和38年に発掘調査が実施された。1号墳は主軸の長さ48mをはかる前方後円墳で幅70㎝、長さ400㎝の長方形の墓坑で、全面に朱が敷かれ、副葬品が配置されていた。
施設内では北側にヤリ先1点、鉄剣3点、鉇3点が、南側に靫2点が出土した。また、施設外では、土師器1点、鉄斧1点、刀子1点、鉄鏃7点が出土した。2号墳は、1号墳の後円部中心より北東30mに位置する径13m、高さ1mの円墳で、 1 号墳の陪塚とみられる。埋葬施設より、鏡と鉄剣が出土した。 出土品の中でも靫は、古墳時代前期のものが全国で計25点の副葬例が知られるのみである。その中でも、鼓山古墳の靫2点は全形が良好に遺存している。希少な例である。近年の研究によると、靫は矢筒本体の文様により7型式に分類されており、鼓山古墳出土例は、「鼓山タイプ」と呼ばれる標式型式となっている。その製作技法や威信財としての武器の用途、首長間交流、葬送儀礼等を明らかにする上で貴重な資料であり、学術的な価値が高い。 |
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