
文化財解説文 | 春日神社は坂井市三国町字新保に鎮座し、姫大神、天児屋根命、武甕槌命、経津主命を祀る。新保村は九頭竜川河口の左岸に位置し、対岸の三国湊と並んで河口港として古くから栄えたことで知られる。神社境内には江戸時代建立の本殿や石祠、鳥居などが遺される。 本殿は、正面3間側面2間の前面に3間の向拝を取り付けた三間社入母屋造銅板葺の建物である。彫刻装飾を多用し、内部・外部ともに彩色が施され、鏡天井には龍を描く。これら彩色は明治期に人為的に削り取られたといい、現在はその一部が残る。前室内法貫及び琵琶板に「貞享元年甲子 六月十七日 苻(府)中 中野長衛門 筆」の墨書が見られ、貞享元年(1684)に彩色が施されたようである。建築様式からも同時期とみてよい。新保春日神社本殿は建築年代が明らかで、彩色は削り取られているものの、増改築が少なく、細部形式も江戸前期ころの様相を留めている。また、細部の彫刻も豊かで、県内における装飾的な本殿の早期の遺構として貴重である。 |
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