
文化財解説文 | 木造、漆塗。方形四脚付の、日供器を据えた台。四角は入込で、幅1.4㎝、高さ0.4㎝の縁をめぐらす。脚部は天板を受ける台輪部分と先端をやや外反させる花先形(はなさきがた)脚を各辺ごとに一枚で造り、計四枚を角で継ぐ。脚の側面には外側に向かって巻込む 蕨手(わらびて)を彫り込む。天板から周縁の上面まで朱漆塗り。周縁外側から脚まで黒漆塗り。ただし、脚の外側角や角の入込部に朱漆を認め、当初は朱漆の縁取りを行っていたものと考えられる。 天板裏に三行にわたり朱漆銘を認める。第三行目は「嘉吉二年正月吉日」と読めるものの、第一行目の「神社」名、第二行目の全文字は現状で判読できない。新造の桐箱の蓋裏に、安政二年(1855)製作の写し(附の日供器台)の箱銘三行を墨書にて転記する。それによれば、安政二年当時、本作の第一、二行目は「越前國大虫神社」「奉改造御日供器臺」と判読できたようである。本作の形態の台を日供器台と称し用いた例はほとんど知られず、室町時代前期の製作年が判明する点でも中世漆工の基準作としてきわめて貴重である。縦50.7cm、横 52.6cm、総高15.7cm、縁高2.0cm。 |
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