
文化財解説文 | 十界勧請大曼荼羅は、題目を中心に諸尊の名号を配したもので、日蓮宗において本門の本尊の理を表わす曼荼羅とされ、諸尊の配置など、系統によってその内容に各種ある。本図は、「南無妙法蓮華経」の七字題目を中心に、両側に「南無多宝如来」・「南無釈迦牟尼仏」、下辺に「鬼子母神」・「十羅刹女」、その下に「天照大神」・「八幡大菩薩」と金泥書し、上段に四天王画像、下段に日蓮上人他四祖師の肖像、下辺中央に「朗源(花押)」、「応安元年戊申五月廿八日」、「授与之法名妙成」の銘文を金泥で記す。 朗源は、京都の妙顕寺第三代であるが、本図には日蓮・日朗・日像(初代)・妙実(第二代)と続く同寺の法系が曼荼羅中に明示されており、応安元年(1368)妙成に授与したものであることがわかる。嘉慶元年(1387)第四代日霽の時に叡山の衆徒が妙顕寺を破却したので、日霽は若狭小浜に隠れたが、その際に当地にもたらされたのか、または天文法華の乱の時かと考えられる。 |
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