文化財解説文 | 本図は永平寺に「古代歴住頂相」として伝来した、永平寺の歴代住職9人の頂相(ちんぞう)である。禅宗では師の人格がそのまま法として尊ばれ、弟子に伝えられたが、頂相は師から弟子に伝法の証として授けられた。
9人の像主は、永平寺第7代住持(じゅうじ)とされている以一(いいち)和尚、第8代住持とされる喜純(きじゅん)和尚、永平寺第9代住持とされる宋吾(そうご)和尚、永平寺第12代住持とされる了鑑(りょうかん)和尚、永平寺第13代住持とされる建綱(けんこう)和尚、永平寺第14代住持とされる建撕(けんぜい)和尚、永平寺第15代住持とされる光周(こうしゅう)和尚、永平寺第16代住持とされる宗縁(そうえん)和尚、永平寺第17代住持とされる以貫(いかん)和尚である。そのうち、建撕和尚像については、像主が判明しておらず、伝建撕和尚像とされている。 いずれの画像も、曲蠖煤iきょくろく)上に結跏趺坐(けっかふざ)し、衣の裾を長く前にたらし、右手に竹箆(しっぺい)または払子(ほっす)を持つ姿で描かれており、禅宗で描かれる頂相の典型的な形式である。作風から室町時代に制作されたと考えられる。度重なる火災にあい、現存資料が乏しい永平寺であるが、これらの頂相は、当時の僧たちの姿を知ることができる、きわめて貴重な資料である。 |
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