文化財解説文 | 本図は岩佐又兵衛(いわさまたべえ)様式の三十六歌仙図の六曲一隻の屏風で、向かって左隻のみが現存する。左方に属す十八人の歌仙はいずれも右を向いて上畳(あげだたみ)に座している。大胆に配置された畳の上に身ぶり豊かな歌仙が連なり、幾分、又兵衛風を誇張した各歌仙の表情も見所となっている。 円立寺は日蓮宗に属し、『円立寺由緒記』によると、本図は結城秀康の六男で、大野藩主となった 松平直良(なおよし)から賜ったとある。制作年代は岩佐又兵衛が江戸に下向する寛永十四年(1637)以前と考えられる。又兵衛の気品のある作品と比べると野卑なところがあり、又兵衛にはない個性的な作風からすると、又兵衛が福井に移住する以前からの弟子だった者の手になる と思われ 、元和期にさかのぼらせることも可能である。縦151.2cm、横353.0cm。 |
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