
文化財解説文 | 本図は一隻(いっせき)ごとに一対の猛禽が描かれている。いかにも武将が好みそうな荒々しい主題で、雄大な趣がある。向かって右隻(うせき)では白犬をつかんだ鷲が岩頭に止まるもう一羽を見上げている。左隻(させき)は雪を冠った樹木の枝に止まる鷹が猿を捕まえた鷲を振り返りながら首尾を見ている。
本図には落款(らっかん)がないため作者はわからないが、岩や樹木の描法が違うので曽我直庵(そがちょくあん)筆とまでは言えないものの画風はきわめて近く、曽我派の手になることは認めてよいだろう。制作年代は直庵の活躍期とほぼ同時期と考えられる。本図の存在は、曽我直庵が越前出身であることを傍証する一助となるもので、貴重である。 |
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